食卓に飾る花は,なかなか難しい。
大きいとじゃまだし、たいがい隅っこに追いやられたりしている。
テーブルに置けて、しかも食卓を演出できるような花瓶がないかなぁと考えた時、すぐに頭に浮かんだのがキタムラさんの作品です。
出会いは某クラフトフェア。知人の奈良で『くるみの木』という雑貨屋さんのオーナーをしている石村由紀子さんと一緒に見てまわっている時に紹介していただいたのです。
木漏れ日の下で、キタムラさんの花瓶たちは気持ち良さそうに光を通してキラキラ輝いていました。
日常のどこかで目にしたことのあるビンを横に切って、口を逆さまにして重ねたデザインはユニークで、お客様の質問NO.1です。ガラスが重なった景色もきれいだし、しかも口が花止めになって活けやすいのです。
「よく考えましたねぇ」と聞くと、「ガラスビンが大好きで、いろいろやっているうちに‥‥偶然思いつきました。」と、ゆったりとした口調で答えてくれました。
キタムラさんは学生の頃から古いガラスびんが大好きで、底を通して景色をみたりしていたそうです。ポツンと入った泡とか、くすんだ色味とか、光を透した感じとか、ずーっとガラスに惹かれてきて、ガラス作家になってしまったのだそうです。
また、ポーランドの映画監督キェシロフスキーが大好きで、彼の映画の映像のそこかしこに“ガラス”を感じるのだそうです。そう言われると今すぐにでも見たくてたまらないのですが、とにかくガラスを透して見た世界の魅力に心奪われて製作を始めたということです。ガラス器って透けて見える背景もふくめて存在しているものなのかもしれません。
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